コート
「バカじゃないの?」
「死ねばいいのに」
が口癖だった貴女
「死ねばいいのに」ていつも言っていた癖に自分がさっさと死んじゃってさ
貴女が遺してくれたコートを着る季節が、また来たよ
貴女があたしに遺してくれた物
お気に入りのコートと水着、数枚のCD
それに「バカじゃないの?」「死ねばいいのに」て口癖
貴女の年齢を、あたしはいつの間にか超えてしまって
もう何年前かも思い出せない
いや、それはウソだね
思い出すと辛くなるから思い出したくないだけ
初めての、友達の葬儀
それが貴女だなんてちっとも嬉しくないよ
あたしは喪服も持ってなくて、唯一の黒い服は胸元がハートマークに開いたワンピースで
でも、貴女に会いに行ったよね
辛すぎて、途中で帰りたくて、でもお兄くんが最後まで居てあげて、て
センチになるのは、季節のせいかな
亡くなった友達たちをやたら思い出す